インタビュー

“心もつながる”プロダクトをつくるために

新卒2年目が挑んだ「ユーザーサプライズファースト」の現場

#talentbookコラボ

「ユーザーサプライズファースト」を掲げ、役割を越えたフラットなチーム開発を実践する株式会社MIXI。本記事では、若手社員の挑戦を後押しする文化や仕組みを通じて、「推せる職場」のヒントを探ります。

若手の活躍を後押しする職場づくりは、多くの企業にとって重要なテーマです。

「ユーザーサプライズファースト」を掲げ、役割を越えたフラットなチーム開発を実践する株式会社MIXI。本記事では、若手社員の挑戦を後押しする文化や仕組みを通じて、「推せる職場」のヒントを探ります。

「働く人が心から推したくなる職場」とは、どんな職場なのか?
「推せる職場特集」は、そんな問いから始まった、組織づくりのリアルを深掘りする企画です。
「推せる職場」とは、働きやすさと働きがいが両立し、思わず人におすすめしたくなるような職場のこと。
本特集では、そんな魅力あふれる職場づくりを実現している企業にインタビューし、取り組みや工夫をお届けします。

今回は株式会社MIXI様にお話を伺いました。同社では『「心もつながる」場と機会の創造。』をミッションに掲げ、ユーザーの幸せな驚きを最優先に考える「ユーザーサプライズファースト」の考え方を大切に事業を展開されています。

取材に応じてくださったのは、Vantageスタジオ minimo事業部 プロダクト推進グループの吉田 智咲さん。吉田さんは2024年4月にMIXIへ新卒入社後、1年目からプロダクトの改善や新機能開発をリードし、現在はプロジェクトマネージャーとして活躍されています。そんな吉田さんの挑戦を糸口に、MIXIの若手の挑戦を後押しする組織文化・仕組みに迫りました。


新機能開発への挑戦

本日はよろしくお願いします。まずは、吉田さんのお仕事について教えて下さい。

minimo事業部のプロジェクトマネージャーとして、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」の新機能開発や、開発プロジェクト全体の進行管理を行っています。今はデザイナー2名、エンジニア3名とチームを組み、プロジェクトを進めています。

最近はアプリのダウンロード数を増やす施策に取り組み、2025年11月には、人が人を呼ぶ「バイラル」を実現する新しい機能をリリースしました。

「minimo」は、「なりたいを結び、共歓を広げる」をミッションに、スタッフ一人ひとりの得意分野や個性から選べるサロンスタッフ直接予約アプリです。当日予約がお得になる直前割や、0円の練習メニューなど、個人掲載ならではのお得なメニューが支持されています。

今回の施策では、美容師の方がリピーター向けに特別メニューを作成できるようにし、双方の満足度を高めながらサービス全体の成長に繋げることを意識しました。

新機能開発にあたって、どんなことを意識してきましたか?

今回目指したのは、「思わず誰かに伝えたくなる体験」を生み出すことでした。単にダウンロード数を伸ばすための施策ではなく、MIXIが大切にしている「心もつながる」体験をアプリの中でどう実現するか――その問いに、4ヶ月間チーム全員で向き合い続けました。

新たに追加したのは、美容師の方が来店実績のあるお客様に向けて“特別メニュー”を作成できる機能です。この仕組みによって、美容師の方はリピーターを増やしやすくなり、お客様は「自分だけに届いた特別な提案」を受け取れるようになります。双方にとって嬉しい体験が生まれる、そんなWin-Winの関係を目指しました。

さらに、こうしたポジティブな体験が積み重なることで、「ミニモよかったよ」と友人に自然と紹介したくなる流れが生まれます。ミニモ側でもクーポン発行などの導線を整えることで、感情と仕組みの両面から利用促進を後押ししています。

試行錯誤の中で見えてきたアイデア

プロジェクトを推進する中で、苦労したことはありますか?

「思わず誰かに伝えたくなる体験」は、人によって感じ方が本当にさまざまです。だからこそ、その“違い”をうまく言葉にし、みんなで同じ景色を見られるようにすることに一番苦労しました。とくに、自分とは違う視点を持つ上司に納得してもらえる形で説明することの難しさも、強く感じていました。

例えば、最近シール帳が流行している背景を伝える時に、「可愛いから」「特別感があるから」といった抽象的な表現だけでは、人によって受け取り方が大きく変わってしまいます。そのたびに、「どうすれば同じイメージを共有できるだろう」と言葉を探し続け、言語化して共通認識をつくる難しさと向き合ってきました。

苦労を乗り越えるために、工夫したことがあれば教えて下さい。

言葉だけでは限界があると気付き、実際にアプリのプロトタイプを作ってチームでロープレを行いました。利用者側と掲載者側に分かれて実際に触ってみることで、「ユーザーはどんな気持ちになるのか」を一つひとつ丁寧に擦り合わせていきました。

すると、今まで見えていなかった視点やアイデアが次々と見えてきたんです。
「ユーザーファーストで考えたはずの仕様や機能が、実際に触ってみると使いにくい」
「画面遷移の順番を少し変えるだけで、ストレスがぐっと減る」
そんな気付きをきっかけに議論が深まり、意思決定のスピードも自然と上がっていきました。

なかには、「美容師の方がお客様に特別メニューを送る時、PayPayのような音が鳴ったら可愛いよね」という遊び心のあるアイデアも出てきたり、何より“ユーザーが喜ぶ瞬間ってどんな時だろう?”と、チーム全員で想像を膨らませる時間が本当に楽しくて。タイトなスケジュールの中でも夢中になって取り組めたプロジェクトでした。

ユーザーのためにチームで考え抜く

周囲のサポートで印象に残っていることがあれば、教えて下さい。

MIXIのメンバーは、2年目の私を良い意味で“新卒扱い”しません。ミニモのユーザーに近い感覚を持つ若手だからこそ気付ける視点にきちんと耳を傾けてくれます。
一方で、意見をそのまま受け取るのではなく、「その本質は何だろう?」と一緒に深掘りしてくれるところに、いつも本当に有り難さを感じています。

直属の上司からは、少し難易度の高い課題を任せてもらうことも多く、その課題を通じて、企画だけでなくデザイナーのスケジュール管理や、チーム全体の仕様決めまで視野が広がっていきました。

上司はいつも「並走できる人になろう」と声をかけてくれ、より良くするためのポイントや乗り越えるべき課題を丁寧に示してくれます。背伸びが必要な課題に向き合いながら必死にくらいついていくうちに、気付けばできることが少しずつ増えていました。

エンジニアやデザイナーの方と一緒に働く時、どんなことを意識していますか?

意識していることは、大きく2つあります。

1つ目は、分からないことは素直に聞くことです。
まだまだ経験が浅く、アプリの仕様で理解が追いつかない部分が出てくることもあります。そんな時に分かったつもりで進めるのではなく、素直に聞いて理解を深めるようにしています。

2つ目は、納得するまでしっかり話し合うことです。
「デザイナーがいいと言っているから大丈夫」で終わらせず、専門用語を噛み砕いて説明してもらいながら、互いに納得できるまで議論を重ねます。

何がユーザーのためになるのか、どんな体験や機能があればワクワクしてもらえるのか──。
常に「ユーザーサプライズファースト」の視点で考え続けるところが、私たちチームの良さだと感じています。だからこそ、時には「それって本当に価値あるの?」とグサッとくるような言葉をもらうこともありますが、そうした本気の議論こそがチームの強さにつながっていると思っています。

「ユーザーサプライズファースト」の考え方は、なぜチームに浸透しているのでしょうか?

MIXIには、「心もつながる」プロダクトや体験づくりに共感しているメンバーが多く集まっています。だからこそ、ユーザーのことを真剣に考え、同じ方向を向いて議論できるのだと感じます。

また、自分と他者の仕事を線引きしない人が多いことも、大きな特徴です。
「この仕様はどうしますか?」「この機能はこう変えたほうが良さそう」など、エンジニアやデザイナーの方からも役割を越えた意見が自然に飛び交います。
肩書きにとらわれず、良いものをつくるために一緒に考える姿勢が当たり前になっています。

さらに、チームでは「スクラム開発」を導入し、短いサイクルで企画・開発・修正を繰り返しています。全体像を共有しながら素早く改善を重ねる過程で、自然と助け合いが生まれ、役割を越えて支え合う文化が育っているのだと思います。

これからの挑戦

これから、どんなことに挑戦したいですか?

ミニモを「単なる予約アプリ」ではなく、「ミニモが好きだから使いたい」「ミニモで集客するのが楽しい」と感じてもらえるサービスに育てていきたいと思っています。

そのためにも、デザイナーやエンジニアの方々と対等に議論できるよう、最近は自分でもコードを書くことに挑戦しています。仕組みを理解することで、より良い体験づくりに深く関わりたいからです。

そして、いつか新しいサービスや機能の話が出た時に、真っ先に自分の名前が挙がる存在になりたい。そのためにも、日々のコミュニケーションを大切にしながら、信頼を一つずつ積み重ねていきたいです。

チームの中で、吉田さんはどんな影響力を発揮していきたいですか?

私は、旗を振って周囲を引っ張るタイプではありません。どちらかというと、みんなで同じ歩幅で一緒に歩いていけるようなリーダーシップを発揮したいと思っています。そのために、スキルだけでなく、人間性も高めていきたいと考えています。

今のチームでは、「これは無理だよね」という言葉がほとんど出てきません。どうすれば実現できるかを前向きに考えるメンバーばかりで、そんな仲間に囲まれて働けていることを心強く感じています。

もちろん、ビジネスとして利益を生み出すことと、ユーザー視点を大切にすることの両立は簡単ではありません。それでも、チームで支え合いながら粘り強く向き合えているのは、この前向きな空気が根付いているからだと思います。

吉田さんのお話から、プロダクトへの想いだけでなく、チームへの想いも伝わってきました。今後の挑戦が楽しみですね。本日はありがとうございました。


<株式会社MIXI 会社概要>

MIXIは、「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」をパーパス(存在意義)に掲げ、コミュニケーションを軸としたさまざまなサービスを展開する企業です。「mixi」「モンスターストライク」「家族アルバム みてね」「TIPSTAR」など、友人や家族とのつながりを深めるサービスを提供しています。

同社は、“ユーザーサプライズファースト”の考え方を大切にし、ただつながるのではなく、濃く深い、より豊かなコミュニケーション体験の創出に取り組んできました。今後も「心もつながる」場と機会を生み出し続けることで、感情豊かな心の通い合う社会の実現を目指しています。

・株式会社MIXI ホームページ
 https://mixi.co.jp/

・talentbook 企業ページ
 https://www.talent-book.jp/mixi

・ミクシル
 https://mixil.mixi.co.jp/

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