NEWONE小野寺です。
「推せる職場」とはどのような職場なのか。
これまで様々な職場での調査を重ねてきました。
しかし、本レポートで紹介した施策を実施すれば、必ずしも推せる職場ができる、とは限りません。
なぜなら、当たり前のことですが、各職場取り扱っている事業も異なればカルチャーも異なるためです。
今回は「よし、推せる職場つくるか」と思い立っていただいたときの土台となる考え方をご紹介したいと思います。
「誰もが推せる職場をつくる」は手放す
まず大原則として、誰もが推す職場をつくるという幻想を手放すことがとても大事です。
推しのアイドルも、推しの旅行先も、推しの文房具も、万人ウケすることはなく、あくまで誰かにとっての推しであり、誰かにとってはさして重要でないことです。
そしてこの特定の誰かにのみ刺さるコンテンツということが、むしろ熱狂的な推し活を生み出すのだと思います。
この点は、いかに選ばれるかを追求してきたマーケティングの領域では基本の考え方かと思います。
そして昨今の人材流動化時代においては、社内外の働き手からも「選ばれる」重要性が増しています。
そのため、自職場は誰にとっての推しを目指しているのかを考えることが重要です。
推しポイントを絞る難しさ
しかし、マーケティングと比べて難しいのは、「既存社員」の存在です。
マーケティングの領域では、業界にもよりますが、新たなコンセプトの商品を打ち出した際は、一定のリピート客の離脱を見込んで、それでもリリースする、といったことはよくあることかと思います。
それに比べて職場の場合は、安易に既存社員の離脱を見込むわけにはいかないため、推しポイントを絞ることは簡単ではありません。
この点に対しては以下のように考えることが効果的です。
①一定の時間をかけて、順に絞っていく
いきなり、「明日からは、将来起業したい人にとっての推せる職場を目指します!」と宣言すると、多くの既存社員のエンゲージメント低下を招くことは想像に難くありません。
仮にそういった方にとっての推せる職場を作るにしても、一定の時間をかけて、納得感をつくりながら、変革を進めることが大事です。
②推し”しろ”をを許容する
推し”しろ”とは、推すための”のりしろ(のりをつける余白部分)”です。
つまり熱狂的に推すも良し、軽めに推すも良しということをある程度許容する、ということです。
かつてキリスト教が日本に伝わった際も、イエスのことを「大日」、キリスト教のことを「天竺宗」として広め、当時の人たちは仏教の一派だと思っていたというような話もあるように、ある程度の関わりやすさや余白を許容することが重要です。
このような点を意識しながら、誰にとっての推しを目指しているのか、を明確にすることで、つくるべき推しポイントは、業務の意味・意義の明確性なのか、職人的に仕事に没頭できる感覚なのか、はたまた最高のチーム体験なのか、絞っていくことができます。
ある程度平均点は確保する
とはいえ、やりがい搾取というような言葉もあるように、やりがいあるから寝ないで働こう!といったストイックすぎる職場も問題ですし、人間関係の良さがうちの強み!と言うあまり、歩調をあわせ過ぎて、各自の良さが活きない、なんてことも問題です。
経営の世界で競合との差別化を図るための考え方として、ファイブウェイポジショニング戦略というものがあります。
簡単にご紹介すると、① 価格②サービス③アクセス④経験価値⑤商品のうち、
- 1つの要素で圧倒的に優位に立つ
- もう1つの要素で差別化を図る
- 残り3つは競合他社と同じレベル
にしていきましょう、という考え方です。
この理論でも残り3つはダメでいいではなく、平均レベルを、と言われている通り、推せる職場をつくるためには、どこで強い魅力をつくるのかを明確にするとともに、一方でバケツに穴が空いないのかを点検し、ある程度問題がない状態をつくるかを考えることが重要です。
まとめ
まずは「誰もが推せる職場」は手放し、誰にとっての推しを目指しているのか、ぜひ明確にするところから推せる職場づくりを始めていきましょう
