コラム

「Z世代の育成は難しい」の正体

#Z世代 #若手育成

今回のコラムでは、「Z世代の育成は難しい」といわれる理由に迫ります。

Z世代を取り巻く環境と行動原理

労働人口が減少する中で、新入社員の早期戦力化は組織にとって最優先事項となっています。その一方で「Z世代」と称される若手社員たちの価値観や行動原理に、現場のマネジメント層が困惑しているのもまた事実です。

「今どきの若者は……」という悩みは、いつの時代も繰り返されてきた言葉かもしれません。

しかし、DX・AIの活用が加速し、コロナ禍を経て働くことの意味が根本から問い直されている現代において、いま起きている摩擦は、単なる「世代間のギャップ」という言葉で片付けることはできません。今回、Z世代の育成を巡る「難しさ」の正体を紐解き、データを活用した合理的かつ新しい育成の形、そして個に最適化された「カスタム型育成」のポイントについて解説します。

まずは、私たちが向き合っている「Z世代」とはどのような層なのか、その定義と時代背景から確認していきましょう。

Z世代の定義:彼らはどのような時代を歩んできたのか

本論に入る前に、まずは「Z世代」の定義と共通認識を整理しておきます。一般的にZ世代とは、1990年代半ばから2010年代初頭に生まれた世代を指します。2026年現在、20代前後から30歳手前にあたる彼らは、単なる「若者」という言葉では括れない、明確に異なる背景を持っています。

「脱ゆとり」と「正解主義」

2010年代の教育課程で育った彼らは、高い基礎学力を持つ一方で、「効率よく正解にたどり着く」ことを重視してきました。また、東日本大震災やパンデミック、経済の長期停滞を多感な時期に経験し、「大手企業なら一生安泰」といった旧来の成功モデルが崩壊する様を目の当たりにしてきました。

SNSによる「客観視」と「比較」

常にネット上で多様な他人の成果が可視化される環境にあるため、自分の立ち位置を客観的に測り、他者と比較するプレッシャーにさらされています。結果として、抽象的な評価よりも、具体的かつ明確なフィードバックを求めているのです。

タイパ(タイムパフォーマンス)意識

低成長時代やパンデミックを経験し、将来が不透明な中で育った彼らにとって、時間は最も貴重なリソースです。「この業務にどんな意味があるのか」を問うのは、自分の力を組織の成果と自身の成長へ最短距離で繋げたいという、きわめて合理的な欲求の表れです。

「Z世代の育成は難しい」の正体

ベテラン層が感じる「扱いづらさ」の正体は、彼らの性格・資質の問題というよりは、「高度に多様化した現代において、これまでの画一的な育成モデルが機能不全を起こしている状態」といえるのではないでしょうか。ここで問うべきは、「一人ひとりが異なる価値観を持ち、多様な情報にアクセスできる時代に、いまだに全員を一律の型にはめようとする『旧来の育成システム』そのものが、組織そして個人の成長を阻害していないか?」ということです。もはや「若手だから」という一括りの管理で人を動かせる時代は終わったといえます。

組織の成長と個人の合理性を合致させる「カスタム型育成」

このような変化の激しい現代において、組織が持続的に成長するためには、Z世代に限らず、いかに個々人の目的や意欲に応じた人材育成の戦略設計ができるかが重要になってきます。「カスタム型(パーソナライズ型)」の育成へマインドをシフトさせていく必要があるのです。

「個」の背景を把握し、合理的な接点を設計する

彼らがどのような教育を受け、どのような価値観を優先しているのかを対話で把握します。これは単なる配慮ではなく、その人のスキルを組織の目標にどう最適配置するかを見極めるための、戦略的なプロセスです。

納得感を生む「パーソナライズされた役割と学習」

一律の研修を強いるのではなく、本人のスキルや関心に基づいた役割や、デジタルツールを活用した効率的な学習機会を提示します。自分の投じた時間が組織の貢献に直結していると実感できる設計こそが、自律的なパフォーマンスを引き出します。

明確なフィードバックと試行錯誤のプロセス管理

デジタルな世界では失敗が「記録」として残り続ける不安があるため、彼らは慎重になります。「どの範囲までなら試行錯誤していいか」を定義し、こまめに客観的なフィードバックを与えることで、心理的ハードルを下げ、実践を通じた成長を促します。

まとめ:理解と適応が組織を強くする

Z世代も、他の世代と同じく組織の一員です。彼らは決してわがままなのではなく、「自分のスキルが正当に評価され、その役割を通じて組織に実利的な貢献ができている」という確かな手応えを求めています。時代は変わり、もはや「一貫した正解」を上から押し付けるばかりの教育は効果的とはいえません。

彼らを取り巻く社会状況を冷静に理解し、個々人の求めや意欲にカスタムされた育成を行うこと。それが、個人の成長を組織の原動力へと変え、激動の時代を勝ち抜くための最善の方法なのではないでしょうか。

推せる職場ラボ 研究員

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株式会社NEWONE

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