インタビュー

人材採用からはじめる「推せる職場」のつくり方

talentbook × 推せる職場ラボ

#推せる職場づくり

「働きやすく、働きがいがある職場=推せる職場」づくりをどのように進めていけばいいのか。働く人のストーリーを通じて企業の魅力を発信する「talentbook」を運営する大堀航さんと、推せる職場ラボ所長の上林周平に話を聞きました。

「働きやすく、働きがいがある職場=推せる職場」づくりをどのように進めていけばいいのか。働く人のストーリーを通じて企業の魅力を発信する「talentbook」を運営する大堀航さんと、推せる職場ラボ所長の上林周平に話を聞きました。
人材採用を1つの切り口としながら、推せる職場づくりのポイントを紐解きます。

talentbookとは

─まず最初に、上林さんから自社NEWONEでtalentbookのサービスを導入した経緯や理由を教えて頂けますか?

上林:
talentbookを知ったのは、弊社が中途採用をさらに強化していこうというタイミングでした。導入の決め手になったポイントは2つあります。

1つ目は、社員の人となりや組織のカルチャーが見えやすいところです。
2つ目は、組織が拡大する中でも、社員1人ひとりが主人公となる組織を作ることを大事にしたいと思ったからです。

社員1人ひとりにスポットライトを当てて、社内外に発信できるtalentbookに魅力を感じました。

──ちなみに大堀さんから見たtalentbookの「推しポイント」はどんなところですか?

大堀:
まずtalentbookの特徴として、年間延べ300万人の学生やビジネスパーソンが就職活動や転職活動で訪問し、掲載されている企業の働く場としての魅力を社員を通じてより詳しく知ることができるサイトになってます。Z世代やミレニアル世代の方々も多く訪れています。

今は約5000人の企業の中で働く社員のストーリーが公開されているんですが、それがパーソナライズされて、訪れた読者に記事がレコメンドされていくことで、よりその企業と個人の偶発的な出会いを繋げていくところも特徴の1つになっています。

─なるほど。何かtalentbookならではの仕掛けがあるんでしょうか?

大堀:
この12月からAIを搭載した「社員インタビューAI」というサービスを開始しました。採用ブランディング、採用広報を強化したいけど、社内にノウハウやリソースがない、広報予算が潤沢にないといった声が企業の担当者から多く寄せられていましたが、その課題を解決できると思っています。

1本のインタビュー記事を出す場合、まず企画を考えて、社員選定、インタビュー、文字起こし、編集、最終チェックという形で少なくとも8時間はかかるんですが、これが最短1時間で8分の1に削減できるような設計にしています。

そうすることで、今まで年間で頑張っても数十人のストーリーしか出せなかった企業が、1000人のストーリー公開を目指すことができるようになります。例えば1万人の会社で20人しか掲載されていないと、やっぱり本当の企業の魅力が伝わりにくいと思っています。ですので、1万人の社員がいたら5000人の社員が掲載されています、という世界を目指したいです。

制作プロセスの効率化によって、採用候補者にどうやってコンテンツを届けていくのか、もっとそこに頭と時間を使って、採用広報、採用ブランディングのクオリティを上げていくサポートをしていきたいですね。

─今年11月には社名もPR Table から talentbookへ変更しましたが、どのような背景があったんでしょうか?

大堀:ありがとうございます。社名を変える意思決定は1年ぐらい前から頭の中にはありました。これから世の中的にも人材の流動化が起き、働く場所や選ぶ選択肢も多様になり、働き方も変わっていくと思います。その大きい流れの中にtalentbookがいるということを伝え、認知を広げていく。そのためには、名刺交換したときに「PR Tableです。talentbookやってます」っていうワンアクションは、もういらないんじゃないかと思っていました。

あと、この背景にあるのは今いる会社のメンバーですね。プロダクト開発、営業、クリエイティブ、各機能の人材も優秀なメンバーが揃ってきている中で、みんなで改めてtalentbookを有名にしていこうぜ、っていうような気合いを込めています。

推せる職場のつくり方

─ここから「推せる職場」のつくり方や伝え方を、もう少し具体的に掘り下げていきたいと思います。まずは上林さんから、NEWONEでtalentbookのサービスを導入してみていかがでしたか?

上林:
大きく2つの効果を感じています。

1つ目は、採用活動において、候補者の皆さんがtalentbookの記事をご覧になることで、弊社のカルチャー理解が速いことです。
面接担当のtalentbookを読んだ候補者の方が質問することで会話が広がり、入社後働くイメージを膨らませることにもつながっています。

弊社では、全社員が採用活動に携わっているので、面接・面談を通して、社員自身が会社を「自分ごと化」する特徴があると思っています。自分の会社、自分の職場を良くしていく感覚を持つきっかけになるようなイメージです。

2つ目は、1人の社員にスポットライトを当てて、深掘りしていくので、ストーリー記事が公開されたときに、社内でもより深く知ってもらえる機会になることです。
弊社は、メンバー全員で結束して、良いチームを作ることを大切にしているので、関係性向上に良い影響があることに魅力に感じています。

─なるほど。この採用活動に関わることで会社を「自分ごと化」する過程について、もう少し教えていただけますか?

上林:
採用活動に携わることで、会社の良い部分を改めて考える機会になり、面接や面談を担当することで、それを人に伝える機会になります。また、候補者の方々との会話を通して、改めて、「なぜこの会社に入ったのか」、その理由を思い出すことにもなると思います。

採用活動が会社を「自分ごと化」するキッカケになり、自分の職場を良くしていこうという気持ちになる。心理学用語に置き換えると、「心理的所有感」を持ち、それを高めることが、最終的には、みんなで「推せる職場」をつくることに繋がっていくかもしれないですね。

─ちなみに、大堀さんは、今の採用活動のトレンドをどのように捉えていますか?

大堀:
転職においても就職においても、求職者が求める情報が深くなってきていると思います。自分がこれからどのようなキャリアを積んでいけるのか、ということに対して非常に意識が高くなってきていて、求人票だけで判断する時代ではなくなってきていると思います。

つまり求人票からは見えない情報として、業務内容、成長可能性、キャリアパス、働く人の価値観、こういったところが非常に重要かなと。talentbookを見ていても、やはりそういったワードで検索して入ってくる方々が多いので。

記事を出すにしても、1日の仕事の流れを漠然と発信するのではなく、その人がどういう経験をして、どんな気持ちになって、これからどうしようと思っているのか、そういう生々しい等身大のお話を引き出していくことが大事で、talentbookではその具体的なエピソードからハッシュタグを抽出して、コンテンツを作っています。

─推せる社員(タレント)の魅力を引き出して伝えていく時に、talentbookではどんなことを大事にしているんでしょうか?

大堀:
そうですね。企業規模や業界問わず、我々がやっていることは企業の中のタレントを起点に全てコンテンツを考えていくので、いかにタレントの気持ちの部分を引き出せるか、そこにすごく神経を使っていると思います。

talentbookというメディアの取材です、というよりは、キャリアカウンセリングに近いスタンスで社員の皆さんと関わっていると思います。この人の面白いところを引き出して、そこを切り取って、注目されるタイトルつけて、読者を集めようというやり方ではないですね。

我々のコンテンツって、そういう「バズらせる」っていう思想は一切捨ててるので、目の前にいる人がその人らしさを如何に出せるか、そしてそのストーリーがコンテンツになった時に共感する人が生まれるかどうか、というところを大切にしています。その過程で企業に対しての興味や関心も広がっていくと思うんですよね。

─ここまでの話も踏まえて、上林さんはどんな職場や企業にtalentbookのサービスを推したいですか?

上林:
個人と組織の関係性が変わりつつある世の中で、これまでにあったような組織に個人が従属する形は少なくなってくると思います。

組織をオープンでフラットにしたいと思いつつも、なかなか実践できない職場や企業にこそ、talentbookを推したいです。メンバー1人ひとりが主人公として社内外に発信されるtalentbookを使うことで、組織をフラットにするきっかけや仕組みとして機能していくようなイメージです。

社会へのインパクト

─社会全体のマクロな視点でも少しお話を伺いたいのですが、「人材枯渇時代」と言われる中でtalentbookのサービスにどんな可能性を感じていますか? まずは上林さんから、お願いします。

上林:
これから、採用活動が一括採用ではなく、部署別の採用に移行していくと思われます。採用の主導権を部長や現場サイドが持つことになった時、社外からの採用だけでなく、社内公募で他部署から人材を確保することもあると思っています。

その時に、職場の魅力を社内外に発信していくことで、採用力を高めていくことができますし、talentbookがそれを後押しするツールになるのではないかという可能性を感じています。

人材の流動が激しくなる世の中では、個人の信用もより重要になります。例えば、自分は前職でこんな仕事をしていましたと紹介できるtalentbookの記事があって、それを採用面接で持っていくような世界観が当たり前になれば、talentbookの活用の幅が広がるのではないかと期待しています。

─大堀さんは、talentbookを通じて、社会全体にどのような影響を及ぼしていきたいですか?

大堀:
そうですね。まず日本社会全体で見たときに、リクルートワークス研究所の調査によると約8割のビジネスパーソンが自分に合ったキャリアがわからない「キャリア迷子」の状態にあると言われています。転職希望者が約1000万人いる中で、それだけキャリアに悩む人が多いというのは、やっぱりどのようなキャリアを歩んでいくかという事例や、ロールモデルが少ないからだと思うんですよね。

ちょっと有名な人が書いたキャリアパスや成功物語ではなくて、等身大のキャリア事例が世の中に溢れてくることがキャリア迷子が減るキッカケになると思っていて、我々もその一助になりたいと思っています。

─採用する企業側の視点からは、どうでしょうか?

大堀:
個人の仕事や信用が記事のストーリーとして見えるようになると、面接の前に採用側も検索することができて、特にこの部分を面接で聞いてみようとか、結構話が広がるという手応えは感じています。マッチングを高める効果だけでなく、talentbookの記事がリファレンチェックになる可能性もあると思います。もちろん、ここは慎重に考えないといけないところではありますが。

ゆくゆくはtalentbookを導入していることが企業の福利厚生になっていくような感じで、この会社に転職して活躍したら、talentbookでコンテンツ化され、それが将来のキャリアステップにも繋がるという形で、求職者に訴求できたら良いなと思っています。やっぱりtalentbookを導入している企業に入社したいよね、という箔がつくような感じですかね。

今後の展望 

─最後に、今後talentbookとNEWONEで一緒に取り組んでいきたいことをお二人から聞かせて下さい。

上林:
我々は人材育成や組織開発を本業にしていますが、そこと採用活動というのは切り離すものではないと思っています。良い組織だから採用力が上がり、良い採用ができるから組織が強くなる、というような両軸のサイクルが回っていくことが大事だと思っています。

その点において、talentbookさんの採用から組織風土に影響を及ぼしていくという強みは魅力に感じていますし、連携をしながら、一緒に推せる職場をつくっていくことができれば嬉しいです。

大堀:
ありがとうございます。今の文脈に被せてお話すると、上林さんと出会ってから色々な連携案も考えていた中で、最近はAIやテクノロジーを活用して、我々が出来ることが増えてきたと感じています。

その中でやりたいことは、先ほども少し触れましたが、ものすごい数のキャリアを見える化していくことに取り組みたいと思っていまして、100人の会社だったら100人の推せる人が出ている、1000人の会社だったら700人出ているとか、そのパーセンテージをKPIにして、一緒に盛り上げていくようなイメージです。

その時に、何か単純に社内の人間を外に発信しましょうではなくて、やっぱり組織開発とかキャリア開発の観点が必要かなと思ってるんですよね。我々はそこのケイパビリティがないので、NEWONEさんと一緒に作っていくことができたら、インパクトが生まれるんじゃないかと思っています。

上林:
例えば、NEWONEでキャリア研修を実施した後、全員のキャリアストーリーをtalentbookに出していくことはできそうですよね。
1人ひとりのストーリーが見えるようになると、社内外問わず、良い影響が広がるのではないかと思います。

大堀:
できると思いますね。ぜひ独自にサービスも開発して、一緒にトライアルできたらいいなと思います。

上林:
ぜひ今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

talentbookサービスページ:https://www.talent-book.jp/

株式会社NEWONE 代表取締役社長
上林 周平
大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
2002年、(株)シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として、プログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。2015年、代表取締役に就任。
2017年9月、株式会社NEWONEを設立。2022年7月に、「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版。

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